腰痛のリハビリ

対症療法

「痛み」に対しては、他の整形外科的疾患と同じように、まず初めに炎症が起こっているかどうか?それはどの程度なのか?を確認することから始めます。明らかな炎症症状があればアイシングをしたり、固定をしたり、安静にして、速やかに炎症を鎮められるように治療を行っていきますが、腰痛では明らかな腫れや熱感をともなう炎症症状はほとんどありません。

腰・背中・お尻・お腹などの筋肉が、何らかの理由で過剰に緊張してしまい、その緊張した筋肉たちが痛みの原因になっていることが多いため、筋肉の緊張を和らげるということがとても重要な対症療法となります。疲れ切って硬くなり動きの悪くなった筋肉に対して、温めて血行を良くして筋肉に栄養を送り届けるために「温熱療法」を行ったり、電気を使って筋肉を縮めたり緩めたり繰り返しながらほぐしていくという「低周波療法」が一般的です。また、広範囲にわたって筋肉が緊張して固まっている場合は、体幹部分や全身の脱力を促す意味で腰を牽引したりすることもあります。それから、骨盤周りの筋肉の緊張を和らげるために股関節のストレッチをしたり、胸・背中・脇腹の筋肉の緊張を和らげるために、呼吸を使ったトレーニングや呼吸を使ったストレッチなんていうのもあります。

一方、骨盤と背骨のつなぎ目の部分や、背骨と背骨の連結部分などのいわゆる「関節」や「骨」、「靭帯」などが痛いという方には、超音波やレーザー、高周波などの物理療法を行うこともありますが、痛い部分に負担をかけないように上手に身体を使うということが最も効果的な治療といえます。したがって、トレーニングすることで痛い部分へ負担をかけないような身体機能を回復させるトレーニングを行ったり、運動習慣を身につけることがとても重要なのです。

筋 力

なぜ腰が痛いのか?その原因を考えもせず、やみくもにマッサージをしたり、ひたすらストレッチをしたり、痛み止めの薬を飲み続けたり、腹筋や背筋をはじめとする特定の筋肉を強化しても、なかなか症状の改善にはつながらないでしょう。

治療効果を十分に得るためには、なぜ腰が痛いのか?その根本的な原因を見つけたうえで、筋力バランスに十分配慮しつつ、間違った運動パターンを正しい運動パターンに変えるために必要なトレーニングを行って身体に学習させ強化することが大切になります。なお、積極的な筋力強化を行う前に、対症療法を十分に行って痛みを軽減させておくのが理想です。

姿勢調査

腰痛を改善するにあたって、正しい姿勢の習得はとても重要です。骨盤の正しい傾け方(角度)や正しい動かし方、背骨の正しいカーブと正しい使い方、股関節や体幹部を含めた正しい全身の連動などをきちんとコントロールできるようにならなければなりません。

骨盤を正しくコントロールするためのトレーニングは、まず寝た状態から始め、次に座った状態、立った状態…と段階的に進め、最終的には歩きながら、走りながら、ステップ動作などの運動中の姿勢矯正へとつなげていきます。

疼痛発生動作の再学習

腰を前にかがめると痛い方、腰を反ると痛い方、腰を捻ると痛い方、またはこれらの動きが2つ以上組み合わさると痛い方…と腰痛といっても様々な種類があります。これらの腰痛は、日常生活やスポーツ活動においてそれぞれの動作を行うたびに痛みが強く現れ、その結果かばうような動きが習慣になってしまったり、それによってさらに全身のバランスが悪くなり症状の悪化を招きます。

したがって、痛みが出る動作の改善方法を患者さん本人に理解していただき、正しい動作をトレーニングするだけでなく、日常化・習慣化できるようになることが理想です。